羸弱ひよわ)” の例文
が、自分ひとりは覺悟の前である生活の苦鬪の中に羸弱ひよわい彼女までその渦の中に卷きこんで苦勞させることは堪へ難いことであつた。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
羸弱ひよわくてあんな病氣に取り憑かれて死なれて見ると、派立(本村もとむらの分村)の目病み婆見たいに八十の身空で、世話になる孫子にも嫁にも皆死なれて、村役場から米だの錢だのを貰つて
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
羸弱ひよわな役人の腹は薄荷ペパミント酒の空壜あきびんのやうな恰好になつた。
老いてはたのむ子供のあることが何よりの力であり、その羸弱ひよわい子供を妻が温順おとなしくして大切に看取り育ててくれさへすればと、妻の心の和平が絶えずいのられるのだつた。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)