符号しるし)” の例文
旧字:符號
こう妙に胸に響くような心地こころもちがしましてね——それはこのほんにも符号しるしをつけて置きましたが——それから知己しるべうちに越しましても、時々読んでいました。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
今日出る前に上に並んだ炭に一々符号しるしを附けて置いたので御座います。それがどうでしょう、今見ると符号しるしを附けた佐倉が四個よっつそっくり無くなっているので御座います。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「こいつが大変な符号しるしなのだ」こういってグッと睨むようにしたが、ヒョイと話を横へそらせた。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それだけの符号しるしだけを印刷して置くなどゝは、仲々の事務的な人物なのだらうと私は思つたが、が、窓から空ばかりを見あげてゐる彼の様子から左ういふ規頂面きちやうめんさを想像するのは六つかしかつた。
遠ざけにしや、そばにはんべる女もあらず。赤黒子の前には小形の手帳を広げたり、鉛筆を添えて。番地官名など細かに肩書きして姓名数多あまたしるせる上に、鉛筆にてさまざまの符号しるしつけたり。丸。四角。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)