突袖つきそで)” の例文
団体の中に、一人、頭へ置手拭をして、突袖つきそでですましこんでいる若いのが、これが一行の大将株と覚しく、これのえりにさしてあった旗だけが少し違い
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
数寄屋橋内すきやばしうち、南番所御用部屋。まだ朝が早いので、下ッ引の数もほんの三四人、炉端にとぐろを巻いて、無駄ッ話をしているところへ、不機嫌な突袖つきそででズイと入って来た卅二三の男。
顎十郎捕物帳:05 ねずみ (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
木下の母堂はじめ見知らぬ人々が、狭いうちの中をおちつきなく動きまわっている中から、正装した六郎兵衛が多少はれた恰好で現われ、突袖つきそでなどしてみながら苦笑いをしてみせた。
主計は忙しい (新字新仮名) / 山本周五郎(著)