秩父颪ちちぶおろし)” の例文
秩父颪ちちぶおろしの烈しい晩など、サーッと軒を払って散る淅瀝せきれきの声が止むと、乾き切った杉の皮がサラサラと鳴る。ト、ト、トと、なずなをきざむような音を屋根裏で聞くと、老人は眉をひそめて
どこの草葺くさぶき屋根にも、この防風林がつきもので、十ぽう碧落へきらくのほか何ものも見えない平野にあっては、時折、気ちがいのようにやッて来る旋風つむじかぜや、秩父颪ちちぶおろしの通り道のようになっている地形上
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)