わたくしは、漢室の鄙徒ひと涿郡たくぐんの愚夫。まあ、そんな者でしかありません。先生の大名は、耳に久しく、先生の神韻縹渺しんいんひょうびょうたるおすがたには、今日、初めて接する者です。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
我々はその全体において神韻縹渺しんいんひょうびょうとして霊気人を襲う者あるを見る、而もその中の一物一景についてその然る所以ゆえんの者を見出さんとしても到底これを求むることはできない。
善の研究 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
神韻縹渺しんいんひょうびょうとして、山荘の軒に、霧の迫ってくる心地がするのである。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)