磔柱はりつけ)” の例文
「聞けば聞くほど未練な小冠者こかんじゃ! 磔柱はりつけに掛けるも槍のけがれ! よいわ、許してやるほどに、芳江を連れて立ち去りおろう!」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「私に構わず、その綱を斬っておしまいよ、私ゃア磔柱はりつけの上から、福屋の屋根にぺんぺん草の生えるのを見てやりたい」
まるで基督キリストが復活してきた時に磔柱はりつけになった後の疵口きずぐちへ手を突っ込ませてみせてくれなくちゃ、人違いだか何だかわかんねえと言い張った十二使徒の中のタマスみたいに、懐疑派の御大おんたいではある。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
今にも磔柱はりつけを背負はせるやうにおどかして、ようやく白状させましたよ——本所の安宅あたか長屋で丸太(船比丘尼ふなびくに)を相手してゐちや、幾松口がきけないのも無理はありません。
今にも磔柱はりつけを背負わせるようにおどかして、ようやく白状させましたよ——本所の安宅あたか長屋で丸太(船比丘尼ふなびくに)を相手にしていちゃ、幾松口がきけないのも無理はありません。