破魔弓はまゆみ)” の例文
依田学海先生国民之友の附録を批して曰く、「舞姫」は残刻に終り、「拈華微笑ねんげみせう」は失望に終り、「破魔弓はまゆみ」は流血に終り、「酔沈香」は嘆息に終る。
舞姫 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
彼は今までいかなることにたずさわっても人に劣り、人に負けたという記憶を持っていなかった。幼年時代に破魔弓はまゆみの的を競えば、勝利者は必ず彼であった。
忠直卿行状記 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
自分の眼から見れば、今の修理も、破魔弓はまゆみこそ持たないものの、幼少の修理と変りがない。
忠義 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
破魔弓はまゆみの的を競えば近習の何人なんびとよりも命中矢あたりやを出したことや、習字の稽古の筆を取れば、祐筆の老人が膝頭を叩いて彼の手跡を賞賛したことなどが、皆不快な記憶として彼の頭に一時によみがって来た。
忠直卿行状記 (新字新仮名) / 菊池寛(著)