知人しるべ)” の例文
そうして、遠からずわたしも江戸へ帰るからあっちでまた会おうと言って、米友のために、二三の知人しるべのところを引合せてやったりなどしました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
お菊は矢張やはり長光寺に葬った。親戚や知人しるべを集めて、この娘の為には粗末ながら儀式めいたことをした。狭い墓地には二人の子供がこんな風に並んだ。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
傳「宇之助さんは上州の小川村で知人しるべに逢って、別れて私は沼田の大竹屋で待っていたが来ないので、何時までもばかり/\と待ってもいられないから帰って来たが、未だ宇之さんは帰らないか」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
八州屋では親戚しんせき知人しるべは元より商売筋へまで八方へ手分けして探したがようとして消息の知れないところから、合点長屋の釘抜親分へ探索方を持ち込んだのだったが、ここに藤吉として面白くないことは
「本所に親類か知人しるべでもあるのか」
半七捕物帳:47 金の蝋燭 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)