眼指めざ)” の例文
たしかに源次郎氏の姉の子供だと聞きましたが、それが、実松当九郎といって、この事件の犯人と眼指めざされている二十二三歳の青年なんです。
復讐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
屈指の富豪と眼指めざされている倉川男爵家の別邸に二人組の強盗が入って、若い、美しい夫人と小間使を絞殺し、一人の書生に重傷を負わせ、夫人所有の貴金属、宝石類と
老巡査 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……意識の力はどこまでもハッキリしたまま……うつつともなく、夢ともなく、私の眼の前の床が向うの方に傾くにつれて、半分なかば開いた入口の方向を眼指めざしつつ蹌踉ひょろひょろと歩み出した。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
何のたたりじゃ応酬むくいじゃなんどと。眼指めざし指さしするのが世間じゃ。そんなサナカに自分の身内に。思いがけない精神病者が。ヒョイと出て来るサア一大事じゃ……チャカポコチャカポコ……
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
及び自身が犯人として眼指めざさるるべき理由の動かすべからざるものあるを自覚しつつも、自己の立場に対する何等の恐怖を感ぜざりし事実等より推して、その心理に微小の暗影をもとどめざる
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)