その頃、松吉は家の中で、まるで熟柿じゅくしのようにアルコール漬けになってはいたが、その本心はひどく当惑していた。その原因は、膳をへだてて、彼の前に座を占めている真々川化助ままかわばけすけに在った。
(新字新仮名) / 海野十三(著)