病気いたつき)” の例文
旧字:病氣
「やあ、ひかえろ、ひかえろ……長い水路やら旅のおつかれで、宿大臣閣下には、あいにく、お病気いたつきにおわせられる。観主かんず、ごあいさつは、あとにいたせ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そなたが、わたしの病気いたつきの種を、知らぬなぞと言わせませぬぞ、そなただけが知っていること——みんなみんな、一目、逢うてからの、この悩みではござりませぬか?」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
このながながし 病気いたつき
蛇の花嫁 (新字旧仮名) / 大手拓次(著)
「断じて、さような考えは、おすてなさるがよい。なあに、姫の病気いたつきなども、若いうちにはありがちなこと。ほかに、よいむこができれば、忘れてしまうものじゃ」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御隠居ごいんきょさまは、別にこれという病気いたつきも無いらしいに、気先だけがすぐれぬというているが、おつとめが急にいとわしゅうなったのではあるまいか——なぞと、しきりに心配していられました。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「ごもっともです。けれど、すけのぞんじますには、おそらく、和子様は、お父君のお病気いたつきに、小さな胸をおいためあそばして、それを、お祈りしていたのではないかと思われます」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まだお病気いたつきえきらぬお身で……。そのおからだでと思いますと」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「すまんな。それはすまん。正成はこのとおり病気いたつきでも何でもない」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はい。……でも良人は、たとえ、ご勘当はゆるされても、帰る気はない、とうに武士は捨てたと、言い切ッておりました。なれど何せい養父御おやごの長のお病気いたつきやら、思いもかけぬ戦乱となりましたので」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いいえ、お病気いたつきで」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)