男児をとこ)” の例文
旧字:男兒
「実に御辞おことばの通りです」と篠田は首肯うなづき「けれど老女おばさん、真実我を支配する婦人の在ることは、男児をとこに取つて無上の歓楽では無いでせうか」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
ひとの怖いことは一厘無いが強いばかりが男児をとこでは無いなあ、ハヽヽ、じつと堪忍がまんして無理に弱くなるのも男児だ、嗚呼立派な男児だ、五重塔は名誉の工事しごと
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
何でも早く勉強して、来年にも幼年学校に入るやうにしなければ、一体男児をとこの本分がたゝぬではないか。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
次には、君も男児をとこなら、更に一歩を進めて、妻君に為るやうに十分運動したまへ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それでは折角御諭しを受けた甲斐無く源太がまた我慾にばかり強いやうで男児をとこらしうも無い話し、といふて十兵衞は十兵衞の思わくを滅多に捨はすまじき様子
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
諸仏菩薩も御許しあれ、生雲塔の頂上てつぺんより直ちに飛んで身を捨てむ、投ぐる五尺の皮嚢かはぶくろは潰れて醜かるべきも、きたなきものを盛つては居らず、あはれ男児をとこ醇粋いつぽんぎ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)