甦生こうせい)” の例文
また、かれが甦生こうせいに奮起した動機を聞いて、自分の中にも、その力はあると、何か急に、立ち上がりたいような気もちに襲われていた。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甦生こうせいした新しい茂兵衛が出現して対面してから、この思い出す瞬間までのカットの数が少しばかり多すぎるから思い出しがわざとらしくなるのではないか。
映画雑感(Ⅲ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
浮世を乱すに役立つばかり、決して決してよいことではござらぬ! が、理屈はまず止めよう、申し上げたいことはただ一事! 甦生こうせいされたということでござる! 甦生させたはこの道人
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
樹そのものは弱りても、その境遇を刷新さっしんすれば、甦生こうせいするのいきおいをあらわす。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
私はまことに呑気のんきな、ぽかんとした顔をしているが、私というものが生をこの世にうける前は江戸が甦生こうせいし、新たに生れた東京というみやこが、すべてに新生の姿をとってようやく腰がすわったところであった。
五年経ッても、七年経ッても、なお大焚火の集まりに見る顔を、特に嘆いて、意見したり、励ましたり、甦生こうせいの道を共に考えてやったりした。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
新支配力の下からはじされた者も、自衛的に移住し去った者も、いい合わせたように、かれらが、甦生こうせいの土壌で選んだ子孫までの生活の姿は、戦争放棄であった。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
事情ことをわけて頼まれてみれば、なおさら辛い立場であった。恋の幻滅、甦生こうせいの失望。お綱の胸を割ってみれば、今は悪行の享楽もなく、帰る望みを持つ家庭もない。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
余りにえた現状生活に対しての自省と、憂いと、甦生こうせいの精神から出ていることは一つである。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その四人のうちの一人を見つけてお迎えしてこそ、初めて、お家は万代ばんだいである、亀山六万石は初めて明るい甦生こうせいをするのだといっていい! こう正統派の家臣たちは主張してやまなかった。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)