生首くび)” の例文
「たった今、この庭へ、二十七、八の浪人が、女の生首くびをかかえ、血刀を引ッさげたまま、逃げこんで参ったのを、御承知はあるまいか」
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
憎むが如く、笑うが如く、また泣くが如く——そこに屈んでいた人間は、女の生首くびを、手から、転がして、また頬摺ほおずりをした。
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
病気にでも取ッつかれそうな気がしていたかんざしを——あの里次の生首くびのにおいを持つ簪を——、そっと、墓石のそばの土中へ、ふかく、差し込んだのである。
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)