生長おいた)” の例文
美しい容貌、上品な姿、大分やつれてはいたけれど、尚高朗たる面影があって、上流の家庭に生長おいたったところの、若殿であったことが想像された。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
背後うしろに大藪が繁っていて、微風に枝葉が靡いていた。ここらは一面の耕地であったが、耕地にはほとんど青色がなかった。天候不順で五穀が実らず、野菜さえ生長おいたたないからであった。
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
坊ちゃんとして生長おいたって来た頼母は、顔も姿も初々ういういしくて、女の子のようであり、それが、雲一片ない空から、溢れるように降り注いでいる月光に照らされ、寝ている様子は、無類の美貌と相俟あいまって
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)