生藥屋きぐすりや)” の例文
新字:生薬屋
「いや、さう言ふわけぢやない。第一あんな激しい毒藥は、江戸中の生藥屋きぐすりやを搜したつてない——南蠻物なんばんものなら知らないが——」
「眼の色變へて乘出すのは穩やかぢや無いぜ、お前に藥草の葉つぱをくれるんだから、いづれ場末の生藥屋きぐすりや後家ごけか何か」
「お銀さんが皆んな知つて居る。手前は大名のお部屋樣を口説き廻したらう、太てえ奴だ、——もつと證據が欲しかつたら手前が鼠取りを買つた生藥屋きぐすりやを伴れて來ようか」
「成程ね、そいつが一番大事だつたんだ。親分も御存じでせう、湯島の生藥屋きぐすりや上總屋かずさや宗左衞門の孫、お千代といふ八つの娘と、新吉といふ六つの男の子が二人。母屋おもやから藏へ通ふ廊下で、煙のやうに消えてなくなつたんだが」