琴責ことぜめ)” の例文
わたしはそのあくる年の正月、市村座の中幕「阿古屋あこや琴責ことぜめ」で彼の岩永左衛門をみて、いよいよ彼が歌舞伎俳優として他に比類なき舞台顔の持主であることを知った。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ぜん申し上げます通り阿古屋あこや琴責ことぜめの様な姿でかんざしを後光の様にさしかざしてるから年を取って居ても若く見えます。ずいと出まして、御奉行の方をはすに向いて坐って居ります。
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
近藤重蔵と阿古屋あこや琴責ことぜめを上演していたところが、その興行中に家橘が急病で死んだために、よんどころなく半途で閉場して更に次興行の相談中に、劇場もまた焼亡してしまったのは
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)