ろう)” の例文
いっこう平気な顔で「ほとほとに(女洞の掛言葉)舟は渚にゆるるなり、あしの下ねの夢ぞよしあし」などとろうがわしい和歌を詠み、面憎いようすだった。
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
毎夜のように母屋のどこかで演じられるろうがわしい馬鹿さわぎを怨みもせず、内坪うちつぼの北の隅にある別棟の曹司で六人の子供を育てながら、庭の花のうつりかわりを見て
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
毎夜のように対ノ屋で演じられるろうがわしい馬鹿さわぎを眺めても怨みがましいようすもせず、庭の北の奥に一劃だけ分離している葵ノ壺という別棟で、ひっそりと六人の子供を育てながら
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)