ちょう)” の例文
彼らは財布と銀時計——若者も内心ではどうなったろうと思っていた——をこっそりちょうし合わせて、見付からないことにしてしまった。
禰宜様宮田 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「何せい火急だ。これを越後の同族たちへ、ちょうじ合わしているいとまもない。……そこで、脇屋殿がそちをたのんでお見えなされたようなわけだが」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
監察御史かんさつぎょし葉希賢しょうきけん、臣が名はけん応賢おうけんたるべきことうたがい無しともうす。おのおの髪をえてちょうひらく。殿でんに在りしものおよそ五六十人、痛哭つうこくして地に倒れ、ともちかってしたがいまつらんともうす。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
は笑った。——彼はこれへ帰るやいな、かねて他県の官庁から廻附されている多くの手配のちょうを調べさせ、そのうちから「あっ、これだ」と魯智深の人相書を見つけ出していたのである。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)