片股かたもも)” の例文
ソコで其の片股かたももだけ買う事に決めて、相当のあたいを払い、もしも暇ならば遊びに来いと云うと、田舎漢いなかものの正直、其の夜再び出直して来た。
「おお、象よかろ、よかろ。手では短い、その、くにゃくにゃとした脚を片股かたもももぎとって、美婦がった鼻へくッつけされ、さぞよかろ。」
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そしてたずさえている猪の肉の片股かたももと、肉切り庖丁とを、彼らの目のまえに突き出した。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで運出はこびだした一枚は、胸を引いて吃驚するほどな大皿に、添えものがうずたかく、鳥の片股かたもも譬喩たとえはさもしいが、それ、支配人が指を三本の焼芋を一束ひとつかねにしたのに、ズキリと脚がついた処は
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)