灯取虫ひとりむし)” の例文
不二屋の軒提灯をみると、お絹は火に吸い寄せられた灯取虫ひとりむしのように、一直線にその店へはいって行った。ふたりは床几しょうぎに腰をかけると、若い女が茶を汲んで来た。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
真白まっしろ灯取虫ひとりむしがばたばた羽をあてる風情であった。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
古書の文字生きてふかや灯取虫ひとりむし
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
大きい灯取虫ひとりむしを覚えている。
灯取虫ひとりむし稿をつがんとあせりつつ
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
灯取虫ひとりむし燭を離れて主客あり
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
上人しょうにんの俳諧の灯取虫ひとりむし
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)