瀬鳴せなり)” の例文
四条中東ちゅうとうの京の端、鴨川かもがわの流近く瀬鳴せなりの音が、手に取って聞えるような茶屋宗清むねせいの大広間で、万太夫座の弥生狂言の顔つなぎの宴が開かれていた。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
やがて、市九郎は、雨露をしのぐために、絶壁に近く木小屋を立てた。朝は、山国川の流れが星の光を写す頃から起き出て、夕は瀬鳴せなりの音が静寂の天地に澄みかえる頃までも、止めなかった。
恩讐の彼方に (新字新仮名) / 菊池寛(著)