清方きよかた)” の例文
伊井蓉峰いいようほうの弟子に石井孝三郎こうさぶろうと云う女形おやまがあった。絵が好きで清方きよかたの弟子になっていた。あまり好い男と云うでもないがどことなく味のある顔をしていた。
唖娘 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ちょうどこの時代じぶん——この篇、連載の新聞の挿絵さしえ受持で一座の清方きよかたさんは、下町育ちの意気なお母さんの袖のうちに、博多の帯の端然きちんとした、襟の綺麗な、眉の明るい
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
細川下邸の清正公門前の大きなしいの木の並んだ下には、少壮時代の前かけがけ姿の清方きよかたさんが長く住まわれて、門柱に「かぶらき」と書いた仮名文字の表札がかけてあった。
旧聞日本橋:17 牢屋の原 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
自分は春信はるのぶ歌麿うたまろ春章しゆんしやうや其れよりくだつて国貞くにさだ芳年よしとしの絵などを見るにつけ、それ等と今日の清方きよかた夢二ゆめじなどの絵を比較するに、時代の推移は人間の生活と思想とを変化させるのみならず
虫干 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
清方きよかた輝方てるかた5・28(夕)
ませ子さんも、清方きよかた画伯が「築地河岸つきじがしの女」として、いつか帝展へ出品した美しい人である。
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)