流言りゅうげん)” の例文
してみると、まんざら無根の流言りゅうげんとも云えないのであるが、伝兵衛は飽くまでもそれを否認していた。彼はこんなことまで云った。
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
領主もまた戦争のたびに、彼らを利用し、敵方へ火をけさせたり、流言りゅうげんを放たせたり、敵陣からの馬盗みを奨励したりする。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうした言葉がさかんに行われ始めたのも町年寄の一人たる磯屋平兵衛がその流言りゅうげんの元締だったことは言うまでもないが
この救援隊の十台のロケット艇がエフ十四号飛行場を出発するとき、地上では不吉ふきつ流言りゅうげんがおこなわれたが、それがとうとうほんものになったようでもある。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
「庄屋、百姓のたぐいには、流言りゅうげんをふりいてもらえば、無智な徒輩やからは、手もないて」
大岡越前の独立 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
日ごとに渦巻うずまく戦乱騒ぎの流言りゅうげんと不安に動揺していたが、しかし、まだまだ江戸の子女の胸には、長い伝統と教養が育てた旗本公子という名前が、ひそやかなあこがれとなっていたとみえて
山県有朋の靴 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
多くの悪口には一時的流言りゅうげんに過ぎずして、ほとんど一の値いなきものがある。俗諺ぞくげんにいう、「人のうわさも七十五日」。その語るところを聞くと根底深いらしいが、その実は根も葉もないことが多い。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「わたしは一体、何をする役目なんでしょ。七内様からは、流言りゅうげんを放てとも、何を探れとも、吩咐いいつかっておりませんが」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どこからともなく、流言りゅうげんが伝わり出した。東京市民の顔には不安の色が、次第にありありと現われて来た。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)