泥溝どろみぞ)” の例文
その根元には蓋のない泥溝どろみぞよこたわっていたりする、市内の住宅街では最も陰気な場所の一つだが、姉崎未亡人のやしきは、その板塀の並んだ中にあって
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
川はだん/\狹く汚なくなつて、も生えぬ泥溝どろみぞのやうになつた頃、生活のゆたかならしい農村の入口に差しかゝつて、其の突き當りに駐在所もありさうであつた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
それまでは敵として戦ってきた戦勝国のアメリカなどが意外にもわれわれの手をとって泥溝どろみぞの中から救い上げてくれ、そしていろいろとなぐさめ、元気づけ、そして行くべき道を教えてくれたこと。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
が、しかしパトラッシュは、この老いたフランダースの犬は、遠い昔を忘れてはいませんでした。あのおじいさんと幼児とが、道ばたの泥溝どろみぞに息絶った自分を救い上げ、見守ってくれたその遠い昔を。