まり)” の例文
スポーンと紅葉こうようしげりへおちた梅雪ばいせつのからだは、まりのごとくころがりだして、土とともに、ゴロゴロと熊笹くまざさがけをころがってきた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうして雑草を踏みしだいて駈け廻ったり、ゴムまりをはるばると投げ上げたりする輝かしい遊びからも彼はすっかり遠ざかってしまった。
青草 (新字新仮名) / 十一谷義三郎(著)
染八の肩から、こう蹴鞠けまりまりのような物体ものが、宙へ飛びあがり、それを追って、深紅の布が一筋、ノシ上がった。切り口から吹き上がった血であった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
悠々とゴムまりを拾ったり何かしているので、相手がコートにい付いて笑っているが、それでもまだわからない。
ビール会社征伐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ばなしをしたり、まりをついたり、草双紙くさざうしを讀んだり、綾取りをしたり、雨降り續きでお客がないから、何しろ退屈でせう、——頬つぺたを嘗められたのはおまけですが、三度々々が店屋物てんやもの
(これで勝負は片付いた)宗三郎の体まりのように、駕籠の中へ飛び込んでしまったのである。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と云いながら、阿斗の体を、まりのように草むらへほうり投げた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)