歯茎はぐき)” の例文
旧字:齒莖
ゆき子は歯茎はぐきつぱくしてかじつたが、林檎は案外柔らかくて、味もまづかつた。富岡も林檎をさくさくと噛つてゐる。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
あの広壮こうそうな建物という建物は一つとして影をとどめず、壁は、歯のぬけた歯茎はぐきのようになっていた。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「どこから捜して来たか、あのあおい石の入った大きい指環ゆびわまで出して来て、指環というものはまだめたことがないで、少しお借り申したいなんてね。」と、母親は歯茎はぐきに泡を溜めながら言い立てた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
塩鯛しおだい歯茎はぐきも寒しうおたな 同
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)