此室こちら)” の例文
此室こちらをのぞいていなすったが、あまりよくているとおっしゃって、奥へ通られて、すぐお寝なされたのですよ」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
富江一人は彼室あちらへ行き此室こちらへ行き、宛然さながら我家の樣に振舞つた。お柳は朝から口喧しく臺所を指揮さしづしてゐた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
でも貴女あなたが、ちっともお騒ぎなさいませんから、此室こちらで仕事が出来なくッて、それで、あの尋常ただの方なら可いけれど、恐いお役人様なんで、手が出せなかったようで口惜くやしいからッて
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此室こちらでございます」
自責 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)