まだ鉄砲ややりを持つてゐる十四人は、ことばもなく、稲妻形いなづまがた焼跡やけあとの町をつて、影のやうにあゆみを運びつつ東横堀川ひがしよこぼりがは西河岸にしかしへ出た。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
今橋を渡つた瀬田の手とが東横堀川ひがしよこぼりがは東河岸ひがしかしに落ち合つて、南へ内平野町うちひらのまちまで押して行き、米店こめみせ数軒に火を掛けて平野橋ひらのばし東詰ひがしづめに引き上げてゐた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)