西丸にゐた大納言家慶と有栖川職仁親王ありすがはよりひとしんわうの女樂宮との婚儀などがあつたので、頂戴物をする人數が例年よりも多かつたが、宮重の隱居所の婆あさんに銀十枚を下さつたのだけは
ぢいさんばあさん (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)