晒者さらしもの)” の例文
青物屋のねぎは日に光つた。りんのやうに光つた。湯村は晒者さらしものになつたやうに思つて蒼白い額を両手におさへた。
茗荷畠 (新字旧仮名) / 真山青果(著)
例へば極最近に至つても上海梨園の某名優が某大官の夫人と通じたことが發覺して、數日街上に晒者さらしものの刑に處せられたと云ふ新聞記事を十數年前に讀んだことさへある。
人をんだ犬を晒者さらしものにする刑罰があるかと思えば、ローマの十二表法には、四足獣が傷害をなしたときは、その所有者は賠償をなすかまたは行害獣を被害者に引渡して
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
何者かと思って振返ると、心中でも仕損じた駈落者かけおちものとおぼしく、橋際はしぎわ晒者さらしものになっている二人の男女があって、その両手は堅くいましめられている処から一心に種彦の袂をば歯でくわえていたのであった。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)