是空ぜくう)” の例文
是空ぜくう、是空」うめくようにいったくちはすぐ歯で噛みしばっていた。こぶしを二つの胸にくみあわせて苦しげに闇へ闇へ歩みだしている。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すべては、繰り返し繰り返しさるる是空ぜくう色現色滅しきげんしきめつであるにすぎないと教えてでもいるかのように、また、自分自身をなぐさめているもののように、心なき者の胸へも、秋のあわれが、こだましてきた。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)