二伸 かの六畳土庇どびさしのざしき太鼓張襖紙たいこばりふすまがみ思案につき候まゝ先年さる江戸座の宗匠そうしょうより売付うりつけられ候文化時代吉原よしわら遊女の文殻反古張ふみがらほごばりに致候処妾宅しょうたくには案外の思付に見え申候。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)