指針はり)” の例文
そのときなおも精神を統一すると、その文字盤の上に、長短二つの指針はりがアリアリと浮んでくるのであった。ああ、今は何時何分だな——。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この時計は、ベヒーベンとか云ふ米国製の時計で、暗闇のなかでも指針はりと文字が青白い光を放つて、はつきりと読めます。
目醒時計の憤慨 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
今君が見たあの大きな汽鑵ボイラーね。あの正面の電球の下に時計みたいなものが在って、指針はりが一本ブルブル震えていたろう。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
夜眼さめて指針はりの光れる時計をば枕辺に見る二時にしありき
歌の潤い (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
彼は計器のスイッチをぱちぱちと切りかえて、指針はりの動きに気をつけた。その結果、空気のもれているのは、尾部に近い左下の部分だとわかった。
宇宙戦隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あれが汽鑵ボイラー圧力計プレシュアゲージなんだが、あの圧力計ゲージの前に立って、あの指針はりが、二百封度ポンドなら二百封度ポンドの目盛りの上に、ピッタリと静止しているのを見た一瞬間に
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
見ているんだ。この指針はりがいま何時何分を指しているかというんだ。ね、今ちょうど十一時四十分を示しているじゃないか。ところでいま本当の時刻は……
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
静止している指針はりがだよ。そいつがピンと来る位の頭にならなくちゃ、一人前の機関長たあ云えないんだ。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)