ひろい)” の例文
養い親は命の親でもあるに、死ぬまでひろいッ子ということを知らさず、うみの子よりも可愛がって養育された大恩の、万分一も返す事の出来なかったのは今さら残念な事だと
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
大抵一隊の砲手に一つもしくは二つの割である。ポンと鳴る度にこの貴重な弾丸を消費する訳には行かん。そこで彼等はたまひろいと称する一部隊を設けて落弾おちだまを拾ってくる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大明国だいみんこくとの和議が整いかけて、凱陣の士卒がわずかに休養する暇もなく、又もや斯かる普請を起して諸国の人馬を労すると云うのも、つまるところはおひろいに対する愛情の結果であると思えば
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)