抑揚ふし)” の例文
と、渠は小声に抑揚ふしをつけて読み出した。が、書いてあるのはたつた十二三行しかないので、直ぐに読終へて了ふ。と繰返してまた読み出す。再読終へて再読み出す。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
笑はれて、私は改めようとするけれども、いざとなつて聲を立てゝ讀む時は、屹度其抑揚ふしが出る。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
笑はれて、私は改めようとするけれども、いざとなつて声立てゝ読む時は、屹度其の抑揚ふしが出る。
二筋の血 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
と、渠は小聲に抑揚ふしをつけて讀み出した。が、書いてあるのは唯十二三行しかないので、直ぐに讀終へて了ふ。と繰返して又讀み出す。うして渠は、ものゝ三十遍も同じ事を續けた。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そして其讀方には、村の兒等にはない、一種の抑揚ふしがあつた。私は、一月二月とつうちに、何日いつともなく、自分でも心附かずに其抑揚ふしを眞似る樣になつた。友達はそれと氣が附いて笑つた。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そして其読方には、村の児等にはない、一種の抑揚ふしがあつた。私は、一月二月と経つうちに、何日いつともなく、自分でも心附かずに其抑揚を真似る様になつた。友達はそれと気が附いて笑つた。
二筋の血 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)