懸隔へだたり)” の例文
自分の態度によって女の名誉が傷つくことになってはならないと思うが、夢中になるほどその人の恋しかった心と今の心とは、多少懸隔へだたりのあるものだった。
源氏物語:04 夕顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
それにしても、これがゴイゴロフなら、石亭先生の描写した人間とはだいぶ懸隔へだたりがあるようだ。
犂氏の友情 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
しばらく駿河台するがだいの方の下宿へ出ていたその女とは、年にも大変な懸隔へだたりがあったし、集まって来る若い男も二、三人はあったが、土竜もぐらもちのような暗い生活をしている女の堕落的気分が
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
内とそとかぎりなき懸隔へだたりとばりつれば
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)