こういう訳で、未熟な私は双方の学校を懸持かけもちしようなどという慾張根性よくばりこんじょうさらになかったにかかわらず、関係者に要らざる手数をかけた後、とうとう高等師範の方へ行く事になりました。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)