壽阿彌はし此火事に姪の家が燒けたら、自分は無宿になる筈であつたと云つてゐる。「難澁之段愁訴可仕しうそつかまつるべき水府も、先達而せんだつて丸燒故難澁申出候處無之、無宿に成候筈」云々うんぬんと云つてゐる。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)