復讐かたきうち)” の例文
「ばか野郎、なんで止めるんだ。いわばてめえの復讐かたきうちのようなものだ。その天秤を持って、おれたちのあとについて来い」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だから今もしおれがあいつの要求をねつけるとすると、あいつは怒るよ。ただ怒るだけならいいが、きっと何かするよ。復讐かたきうちをやるにきまってるよ。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「それじゃちょいとあって来てからそれからこの間の復讐かたきうちだ、覚悟をしてお置きなさい」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
復讐かたきうちの外は人を殺せば大抵死罪と決って居りますから、何分長二を助命いたす工夫がございませんので、筒井侯も思案に屈し、お居間に閉籠とじこもって居られますを、奥方が御心配なされて
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
貴郎あなたさまだ、其時丁度ちやうど十二三の坊様が、長い刀を持ち出しなされて、とつちやんの復讐かたきうちに行くと言ひなさる、其れを今の粟野あはのに御座る伯母御様が緊乎しつかり抱き留めておすかしなさる——イヤもう
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
もうその朝は復讐かたきうちの心より外に残っているものは無いのでした。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
もとより毛筋程けすじほども悪心のないのは天道様が御照覧になって居りますから、筒井様のお調べ、清兵衛のお慈悲願いから、林大學頭様の御理解等にて到頭実父の復讐かたきうちとなり、御褒美を戴いた上
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
……復讐かたきうちをする前に、こっちが干乾ひぼしになってしまう。そのくせ、内蔵助などは、あの豪奢ごうしゃぶり、子供に、無心の手紙を、両三度持たせてやったが、返事もよこさん。自体、人を小馬鹿にしたやり口だ。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)