従三位じゅさんみ)” の例文
ないほうがよかったかもしれない。今夜源氏は従三位じゅさんみから正三位に上った。頭中将は正四位下が上になった。他の高官たちにも波及して昇進するものが多いのである。
源氏物語:07 紅葉賀 (新字新仮名) / 紫式部(著)
延喜えんぎ八年に八十一歳を以て歿したのであるが、生来一向働きのない、好人物と云うだけの男で、かく従三位じゅさんみ大納言の地位にまで昇り得たのは、長生きをしたお蔭であろう。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
従三位じゅさんみ藤原ノ朝臣あそん泰文は「悪霊民部卿」という忌名いみなで知られている藤原ノ忠文ただぶみの四代の孫で、弁官、内蔵頭を経て大蔵卿に任ぜられ、安元二年、従三位に進んで中納言になった。
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
維新のとき人にすぐれたる勲功のありし由は。門に打ちたる標札に。従三位じゅさんみ子爵なにがしと昨日今日墨黒すみぐろに書きたるにても知りぬべし。さればその昔し尊王を唱え攘夷じょういを説き。四方に奔走せし折は。
藪の鶯 (新字新仮名) / 三宅花圃(著)
安倍泰親は妖魔を退散せしめた稀代の功によって従三位じゅさんみに叙せられた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
従三位じゅさんみ左兵衛さひょうえかみに任じ、武蔵、常陸、下総の三ヵ国を賜る。