彼地むこう)” の例文
貴方あなたがたに逢いたいばかりに今度は帰って来たんです……彼地むこうから見ると、何故こう日本の人はコセコセコセコセしてるんだろう
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そうサ東京へ。旅費はもうできたが、彼地むこうへ行って三月ばかりは食えるだけの金を
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
日本に比ベると、彼地むこうでは豚の肉が驚くほどやすいとか……鶏卵が一個何程で求められるとか……それを聞くと、お新は世間の内儀おかみさんが笑うと同じように、楽しそうに笑った。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
旅舎やどやの二階へ戻って、山本さんは白いかばんを開けて見た。読もうと思って彼地むこうから持って来た支那の小説が出て来た。名高い『紅楼夢』だ。ぎ慣れたにおいはその唐本の中にもあった。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)