面憎つらにくいことは、この時分になって雨のんだ空の一角が破れて、幾日いくかの月か知らないけれども月の光がそこから洩れて、強盗提灯がんどうぢょうちんほどに水のおもてを照らしていることであります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)