弥勒寺みろくじ)” の例文
その途中から支流は東の方に向い、弥勒寺みろくじの塀外を流れ、富川町とみかわちょう東元町ひがしもとまち陋巷ろうこうを横ぎって、再び小名木川の本流に合している。
深川の散歩 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
机竜之助は、あの晩から再び弥勒寺みろくじの長屋へは帰りませんでした。染井の化物屋敷へも姿を見せた形跡はありません。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
庄太郎は、この一つ目からすぐ傍の、弥勒寺みろくじまえ、五間堀の逸見へんみ若狭守様のお上屋敷へ、屋根の葺きかえに雇われていて、きょうは、仕上げの日だ。急ぐので、中腰に、飯をかっこんでいた。
明日あした弥勒寺みろくじへ会いに来るとさ。弥勒寺へ。明日あしたの晩。」
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
夜になると風が銀杏いちょうの木の葉をひらひらと落して来ました。弥勒寺みろくじの鐘が九ツを打った時分に、屏風の蔭に寝ていた机竜之助はウンと寝返りを打ちました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
しかし門違いにも門違いでないにしても、弥勒寺みろくじの門を入って人を尋ねるとすれば、ここはその一軒だけです。この深夜に、わざわざここまでとまどいをして入り込む人のあろうとも思われません。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)