若い公家は左少弁兼輔さしょうべんかねすけであった。色の白い、ひげの薄い優雅の男振りで、詩文もつたなくない、歌も巧みであった。そのほかに絵もすこしばかり描いた。笛もよく吹いた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)