このやしき主人あるじ安城郷太郎あんじょうごうたろうは、又なきものに寵愛して、本妻の亡き後は、一にもおとり、二にもお鳥、お鳥でなければ、夜も日も明けぬ有様だったのも無理のないことです。
裸身の女仙 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)