季節とき)” の例文
野菜の名産地の尾張城下の郊外です、畑という畑には季節ときの野菜が、濃い緑、淡い緑、黄がかった緑などのかおを敷いておりましたっけ。
怪しの者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
暑い/\八月も中旬なかばになつた。螢の季節ときも過ぎた。明日あすは陰暦の盂蘭盆うらぼんといふ日、夕方近くなつて、門口からはしやいだ声を立てながら神山富江が訪ねて来た。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
前にも謂ツた通り、螢の出る季節ときにさへなると、自分は毎夜螢狩に出掛けて、必ず百匹位ゐ螢をつかまへて來た。ところが此の螢が一匹として、一晩と螢籠の中にゐて呉れなかツた。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
私ははじめそれを季節ときならぬ桜の花びらが、水面に散り敷いているのかと錯覚した。
犬の生活 (新字新仮名) / 小山清(著)
致すと尋ねられしに勘兵衞ハツといひきり暫時しばら返答へんたふ出來ざりしがやうや季節ときの物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
季節とき推移うつりかわりは、やがてふゆとなり、ゆきさえちらちらりはじめました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
ものみなの凋落の季節ときをえらびて咲き出でし
詩集夏花 (新字旧仮名) / 伊東静雄(著)
季節ときが流れる、城寨おしろが見える
何しろ六月から七月へかけて、螢の出る季節ときになると、自分の村は螢の光で明るい……だから、日が暮れて、新樹の木立こだちの上に、宵の明星があざやかな光できらめき出すのを合圖で、彼方あつちでも、此方こつちでも盛に
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
季節ときが流れる、城寨おしろが見える。
季節ときが流れる、城寨おしろが見える!