嫩葉曇わかばぐもり)” の例文
それは二時ごろで、ひる近くから嫩葉曇わかばぐもりに曇っている空を背景にして、大井から大森の人家のひさし藍鼠あいねずみの海に溶けこもうとしていた。眼を落すと嫩葉をつけた梅の幹がいちめんに古怪こかいな姿を見せていた。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)