姥神うばがみ)” の例文
小さな子を連れた姥神うばがみであったということなども、後には忘れてしまったところがずいぶんありますけれども、どうかすると話の大切な筋途すじみちから
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
道は暗い、山にかかるほど、けわしくなってゆく。そして馬も人も疲れた頃、やっと姥神うばがみの中腹までかかり、足もとに、海のような雲の波と、朝の光を微かに見た。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あんなこわい顔をした不動様でも、姥神うばがみと一しょに住めばつぐらの子の保護者でありました。お盆になると少年が閻魔堂えんまどうに詣るのも、やはりあの変な婆さんがいるからでした。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「それやあ、えらい山路で、姥神うばがみから権兵衛峠を越えねばなりませぬで」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上総かずさ俵田たわらだという村の姥神うばがみ様は、近頃では子守神社といって小さなお宮になっていますが、ここでもある尊い御方の乳母が京都から来て、咳の病で亡くなったのを葬ったところといっております。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)