始皇帝しこうてい)” の例文
私は、張良ちょうりょうしん始皇帝しこうていを、挺身襲撃した古事を、漢学によって学び、張良の強く正しい意気を、深く敬慕していたものであった。
私の歩んだ道 (新字新仮名) / 蜷川新(著)
長城を築く——毛人らが何故なぜそれを恐れるかというと、かれらはその昔、しん始皇帝しこうていが万里の長城を築いたときに駆り出された役夫えきふである。
武帝はけっして庸王ようおうではなかったが、同じく庸王ではなかったずい煬帝ようだい始皇帝しこうていなどと共通した長所と短所とをっていた。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
日時計は、しん始皇帝しこうていが、陣中で用いたのが始めだという。「宋史そうし」には何承天かしょうてんが「表候日影ひょうこうにちえい」をつかさどるとある。明代みんだいには晷影台きえいだいというのがある。日時計の進歩したものである。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
漢が天下を定めてからすでに五代・百年、始皇帝しこうていの反文化政策によって湮滅いんめつしあるいは隠匿いんとくされていた書物がようやく世に行なわれはじめ、文のおこらんとする気運が鬱勃うつぼつとして感じられた。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
項羽も始皇帝しこうてい荘王そうおうもみな同じ人間になってしまう。違った人間を同じ人間として記述することが、何が「述べる」だ? 「述べる」とは、違った人間は違った人間として述べることではないか。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)